最近ブロガー界隈で図解が流行ってます。twitterでも「#図解チャレンジ」というハッシュタグでたくさんの図解が投稿されています。見るだけでも楽しいですよね。
確かに文章だけではなくて、視覚的に訴求できる図解は無いよりもあった方が良いと思います。ブログ以外でもプレゼンの資料などでもこうした図を用いれば効果的です。
図解のクオリティをもっと上げるにはどうしたら良いのか。
図解チャレンジでは初めて図解を作ってみたというような方もたくさんいらっしゃいました。せっかく作るんだから「よりクオリティの高いものを作りたい」と考えるのが人の常。
デザインの仕事を長い事やっていますので、少しはお役に立てるかと思い、この記事では作り方のコツや考え方などをまとめてみたいと思います。
図解って何?という話から制作する際のテクニックまで現状思いつく限りのノウハウを詰め込みました。長いですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。
楽しいのでみんなで図解作ろう!
はじめに:とにかく手を動かす
本題に入る前に大事なことを。何かをはじめる時、最初から上手にできる人はいません。デザインもそう。トライアンドエラーの連続です。
上達への近道は数をこなすことというのは間違いないので、これから紹介するテクニックを実際に試してみてほしいと思います。少し小難しい話も出てきますが、気負いせず気軽にチャレンジしてもらえたらと思います。
図解の定義
はじめに、図解とは何なのか?という話です。
図解(ずかい)とは、図を用いて説明を行うことや、その書物のこと。
そのまんまですね。
一言で図解と言っても色んなものがありますし、本当に多種多様です。なので「これは図解で、これは違う」というような明確なライン引きは難しいです。図を用いて何かを説明していればすべて図解とも言えます。
個人的な見解として図解の意味をもう少し掘り下げてみたいと思います。
主従関係
「#図解チャレンジ」でいろんな方の図解を拝見していると文章の説明が無いと意味が分かりにくい図が見受けられました。前提として図と文章(テキスト)の関係性が重要だと思います。
つまり[図=主/文章=従]です。
あくまで図をメインにして、文章は補足的な役割という考え方が重要なのではないかと考えます。究極的に言うと、図だけ見れば誰もが意味を理解できる。これが「いい図解」です。
テキストは必要最小限に
文章量が多くなってしまうとどうしても主従関係が逆転してしまう現象が起きます。図が文章の補足的な役割になってしまうと「挿絵」という意味合いが強くなってしまいますので注意が必要です。
テキストは必要最小限にし、図だけで意味が伝わるように作っていくと上手く行きやすいです。
次に具来的なテクニックをいくつか紹介していきます。
潜在的な認識を活用する
視覚にダイレクトに訴求する図解ではデザイン的な工夫が必要になってきます。デザインというと難しいとか、専門的な分野と思われがちです。確かにそうした面もありますが、ぼくたちが日ごろ潜在的に認識しているルールを活用すると意味が伝わりやすくなります。考えてみれば当たり前のことばかりですが、こうした基本的なことが大事です。
文字は左から右に書く
横書きの日本語は左から右に向かって進んでいきます。図解も同じです。左から右に展開していくようにします。
右から左に進む図というのは違和感を覚えます。
時間も左から右
同じように時系列も特別な理由がなければ基本的には左から右に向かって進みます。
一瞬退化してるみたいに見えますよね…?
こっちのほうが自然です。
増減は下から上
量的な増減は下から上に。
下がゼロです。これは多くのグラフがそうなっているので理解しやすいかと思います。
線の太さで量を表す
図解ではモノの流れを矢印で表すことが多いです。その際にも線の太さを変えてみましょう。
このようにディテールを意識すると同じ矢印でも意味を持たせることができます。
応用として三角形を使ってボリュームを表すこともできます。
暖色と寒色
形のほかに色に関しても日頃からみなさんが潜在的に認識しているルールがあります。
わかりやすいですね。
あとトイレのピクトグラムがそうであるように、男性=青、女性=赤という色分けをするとスムーズに情報として入ってきます。
このように、日常生活に溶け込んだデザインのルールを意識して図解に活用していくと、読み手にスムーズに情報を伝えることができます。
これは専門的な知識がなくとも潜在的に認識していることです。注意深く観察してみてください。
次の章ではこうした基本的なルールを駆使して図を作っていくコツを紹介します。
図解を作るコツ
実際にぼくも「#図解チャレンジ」に投稿するために一から図解を作ってみたので、その際に気づいた点などをまとめていきます。
複数軸を1枚の図に
図解のクオリティを高めるために意識したいのが「複数の軸」を1枚の図にすることです。
例えば「時間と数量」とか「◯◯の男女比」とかいった具合ですね。一見関連性のなさそうなものや切り口に独自性があってユニークなものは印象に残りやすいです。
「○○だ」という解を導き出す
図解ですから必ず「解」が必要です。
「人口増加は◯◯が原因」とか「うどんが美味しい理由はダシ」とかそういう答え(結論)です。図を用いて何らかの答えを示すというのが図解を作る上でのセオリーです。この答えに説得力が無いと「で?」という図になります。理論的に説明することが重要です。
相手は「なぜそうなのか?」という答えを求めています。「なるほど!」となるにはそれなりの説得力のある解が必要です。
超重要:客観視する
うどんが美味しい理由をダシと知っているあなたは図解をする時に「答え(=ダシ)から逆算」してしまいます。
でもちょっと待ってください。
説明が必要な人はダシやうどんの存在を知らない人かもしれません。
図解に限らずデザインやプレゼンをする上でとても重要なことが「客観視すること」です。説明すべきポイントがすっぽり抜けてしまっている図解を見かけます。
答えを知らない人をスムーズに解に導く。
これが図解の役割になります。
一度完成したものを「予備知識ゼロの女子高生の気持ち」になって見直してみてください。もちろん女子高生である理由は特にありません。
要するに「誰が見ても同じ解が導き出されること」が超大事です!
答えありきで作っていませんか?その説明で足りていますか?
実際に作ったものの解説
散々能書きを書いてきたのですが、僕の作った図解を例にとって意識した部分を解説していきます。
会社勤めをしながら副業としてブログを書いているので、副業で得られることのメリットを図解しました。先ほど説明したポイントを踏まえて解説します。
縦軸=副収入と本業への依存度
副収入を得られると本業の依存度が下がっていきます。収入が本業のみの場合は依存度は100%になりますよね。
副業を始めて縦軸(収入)が伸びていくと副収入が上がった分だけ本業への依存度が下がる様子を表しました。
横軸は時間
図には書き入れていませんが、副業を継続していれば収入は時間とともに上昇していきます。つまりこの図は時間軸が左から右に進んでいることが自然とわかるように意識して作っています。
試しに反転してみましょう。
収入が下がりました…
上昇は赤、下降は青
増加した収入は赤に、下降した依存度は青に色分け。本業=ネガティブというわけではありませんが増減を色分けするとわかりやすいです。
そして上昇と下降の三角形の上半分はお金、下半分は依存度です。三角形の上下で別のものを表すグラフになっている点もギミックとして面白いと思い、このような形になっています。
タイトルと解
タイトルにはこの図は何を表しているのかを、図の下にはこの図で導き出した解を入れました。
この図を使って述べたいことは「副業=リスクヘッジである」ということです。
収入の柱はたくさんあった方が良いに越したことはないし、本業だけに収入の全てを依存するのもリスクが高い(自分の健康や会社そのものの倒産など)ということを一枚の図に表しています。
見た目をよくするコツ
デザイン上に気をつけたいことについても少し触れておきたいと思います。
客観的に見るの段落で説明しましたが、大事なことは「誰が見ても同じ答えが導き出されること」でしたね。
そのためにできることが「図に意図しない情報を入れないこと」です
特別な理由がない限り楕円より正円、辺の長さが揃った三角形といったような整理された図形が望ましいです。
見た目の美しさももちろんなのですが、見た人の中には「どうして形が整っていないの?何か意味があるのかな?」と考える人もいます。
「なぜこれはいびつな形しているの?」という質問に答えられなかったら修正するべきでしょう。
これも完成してから客観視してみてください。
挿絵から図解へ
もう一つの例として#図解チャレンジのtweetをみてコメントをいただいたYuhei Nakai(@yuppe09)さんの図解を例に、作り直してみました。
注:ご本人様には許可をいただき引用させていただいています。ありがとうございます。
before
図解屋さん(@OTASM9)のnoteを読んで図解を作成してみました。
当たり前のことだけど最近投稿について意識するようになり再確認できたこと。#図解チャレンジ pic.twitter.com/STvlVrzkw1— Yuhei Nakai (@yuppe09) 2018年4月15日
この図解で述べたいことは、文字のみに比べて文字プラスアルファの情報があった方が注目度が高い。という図解です。
左には文字だけの情報を見ている一人の人、右側には文字と写真の情報見ている三人。この図では「なぜ文字プラスアルファの方が注目が集まるのか」についてが図の中で述べられていません。なぜそうなのかという解が必要だと考えました。
after
これを受けて、作り変えたのがこちらです。
「山のぼり」というタイトルをつけたポスターを想定しました。
文字情報だけの時と文字プラス写真を上下に配置、右側には「視覚的な情報」の多さを示す逆三角形を入れることで、下から上に向かって情報が増えていく様子を表しました。
解は「イメージしやすいほど印象に残る」
beforeの画像と同じことを述べています。このように少し見る角度を変えることで伝わりやすくなったかと思います。
伝える為にまずは自分が理解する
今回初めて図解というものに挑戦してみたのですが、思っていた以上に難しかったですね・・・図を作るのは簡単なんですが、適切な形に着地するまでに多くの時間を要しました。作業の9割くらいは考えることですね。
考えているうちに自分の中でより理解が深まっていくのを実感できると思います。
誰かに何かを伝えるという目的以外にも「深く理解する思考法」としても有用です
楽しむことがなにより大事
持論を交えて細かなテクニックを紹介してきましたが、デザインに正解がないように図解にもこうしなければならないという堅苦しいルールはありません。自由な発想がクリエイティブの源泉です。最初はうまく行かなくても今回紹介したテクニックを使えば徐々にコツを掴んでもらえると思います。
パソコンなどが苦手な方は手書きでも十分だと思います。個人的には先日発売された新しいiPadがオススメ。ぼくも購入しましたが、Apple Pencil楽しすぎます!
デジタルなので何度でも書き直せますし、クリエイティブが刺激されますよ!
手前味噌ですがレビュー記事です。
質問もお気軽にどうぞ
分からないところや質問があればtwitterや記事へのコメント欄などでお気軽にどうぞ!内容に応じてコメント欄での返信や記事への追記などでお答えできればと思います。
まだの方もぜひ図解にチャレンジしてみましょう!
この記事がお役に立てれば幸いです!
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